予備校の先生に聞いた!
看護医療系の
入試動向
昨今の看護系大学・専門学校の動向について「関西看護医療予備校」の先生が分析!
最新の情報をお届けします。
看護医療系の入試動向出題傾向は?
CHECK!
大学・専門学校の各科目のねらいを理解して、
十分な対策を
看護医療系大学
志望大学の出題傾向は、過去問題を分析することでつかめます。過去問題を解いて点数を気にするだけでなく、どのような設問があるかという点に注目してください。文章は変わっても、設問のパターンが、毎年大幅に変更されることはありません。志望大学の設問のパターンを念頭に置いて、以下の要領で勉強を進めてください。
現代文読解、特に必ず出題される評論文では、段落ごとの要点を押さえて、傍線部や空欄の前後を手がかりにして選択肢を検討する。これを解答の際に意識しながら問題演習を行って下さい。その積み重ねが読解力を向上させます。小説や随筆でも、基本は同じです。
知識問題も、過去問題から範囲を絞って集中的に、たとえば、文法の品詞識別や文の成分、慣用句、故事成語など、総合国語便覧や問題集などを使って勉強することができます。ただし、近代日本文学史は、学校の授業ではあまり触れられません。過去、志望校で出題されていたら、総合国語便覧などを使って、皆さん自身で学んで下さい。
解答の根拠を明確にしながら、
演習問題をこなす。
難解な文章は、
各段落ごとの要点をつかみながら、
全体の要旨をおさえる。
知識問題は、
高校で使った問題集や
資料を活用して勉強する。
看護医療系専門学校
志望する専門学校の出題傾向も、過去問題を分析することでつかめます。評論文であれ、小説、随筆であれ、読解問題の場合、傍線部や空欄の前後に注目して、各段落の内容を読み取り、選択肢を検討していきます。この手法は、大学入試でも専門学校の入試でも変わりません。
ただし、選択問題ばかりの大学入試と違って、記述させる問題を出す専門学校もありますから、そのような学校を志望する場合、過去問題の他に、記述問題に対応する問題集に取り組んで、文章中のどの部分を使ってどのように答を作っていくか、といった練習も欠かせません。
知識問題においても、過去の出題から必要な知識を選別してください。漢字語句は言うまでもありませんが、文法、文学史も、出題されていれば押さえておいてください。特に、専門学校では、敬語を出題する学校も珍しくありませんから、どのような場面でどのような言い方をしなければならないか、といった点も含めて学習する必要があります。
解答の根拠を明確にしながら、
演習問題をこなす。
記述問題には、
必ず自分なりの答を書く。
(自分なりの答を書かないまま、
解答例を書き写すだけでは
力はつかない)
知識問題は、
高校で使った問題集や資料を
活用して勉強する。
看護医療系大学
看護医療系大学・学部の英語入試は文法・語法問題、整序英作文、会話問題、長文総合問題に大別されます。全体的には標準レベルまでの出題が多く、試験時間内に解答するにはスピードが求められます。文法・語法問題の対策は、頻出文法事項である動詞の語法、時制・仮定法・準動詞・関係詞・接続詞・代名詞・前置詞などを徹底的に習得することが大切です。会話問題対策は、会話の定型表現を覚えるのが有効です。長文総合問題対策としては、語彙力は学校テキストの既習の単語を覚えておくことが効果的。英文を読みながら自分が知らない単語の意味を前後の文脈から類推する訓練が必要です。長文の主題は、医療分野の論説文・時事問題を扱ったもの・エッセイ・言語論や科学論など多岐にわたっていて、多くの問題量を限られた時間内に解答するためには、多数の長文読解問題を解き、内容把握力を身につけることが求められます。特に科学関係の内容を取り上げている長文に慣れる練習を重ねることが必要です。なお、推薦入試※と一般入試では同じ出題形式の大学が多いのですが、一般入試のほうが問題量の多い傾向にあります。
解答時間を設定し、
スピーディーかつ正確に
問題を解く練習を積み重ねる
学校のテキストで既習の単語に加え、
単語集で語彙力を補強する
文法・語法問題:頻出文法事項の
ポイントを確実におさえる
会話問題:会話特有の
定型表現を覚える
長文総合問題:高校で学んだ
単語を復習しつつ、
意味が判らない単語の意味を
文脈から類推する訓練を行う
※一部の大学では「総合型選抜」に該当します。
看護医療系専門学校
入試で多く問われる内容とその出題形式は、次のようになります。
(1)単語・イディオムの知識
①単語の発音・アクセント
②単語のスペリング・意味(特に、身体部位や看護医療関係の基本的な名詞)
③イディオムの一部分の適語選択、適語補充
(2)文法・語法、構文の知識適語選択、適語補充、書きかえ、語句の整序、正誤判断
(3)会話文の読解適する応答文の選択
(4)随筆や論説文の読解空欄部の適語補充や文の補充、指示語が指す内容の指摘、下線部の理由や言い換え表現、本文の内容の正誤判断
上記の傾向を大学入試の英語問題と比較してみると、専門学校入試では
a)中学校レベルの単語・イディオム・文法(someとanyの使い分けなど)・構文(make+目的語+補語など)の知識も多く出題されている。
b)高校レベルの文法・構文の知識をあてはめて解く問題では、答案を作り易いものが多い。
c)英文読解では、英文の量がさほど多くない(たいてい3~4パラグラフ程度)。入試対策としては、大学入試の準備と同じ範囲を学習し、基礎知識を習得しておくことが望ましい
中学レベルの単語やイディオム、
文法などの復習
英語の長文に慣れ、
文章の流れと内容を
スピーディーかつ正確に把握する
練習を積み重ねる
看護医療系大学
推薦入試※の近年の出題傾向を見てみると、いずれの大学の公募推薦入試においても、高校での基礎・基本の習熟度や学力の到達度を測るために、教科書の本文中の設問から章末問題のレベル、つまり基本から標準レベルの問題が大部分を占めています。一部の大学の一般入試で出題されるような、教科書の内容を超えた解法テクニックが必要とされる問題はほとんどありません。
ただし、平易な設問が多いからといって油断してはいけません。典型的・定番的な設問にはすばやく条件反射的に対処できると同時に、計算でミスをしない学力を身につけておく必要があります。教科書の内容を十分にマスターしておくと共に、典型的・定番的な問題の演習を参考書・問題集で行う過程で、計算力をつけてください。その際に、解答時間を意識して解くようにすると、より実戦的な学習になると思います。
一般入試の近年の出題状況は、まず設問の難易度については、大学ごとに多少の差はあるものの、大多数の設問は基本(受験者の70%以上が正解するであろうレベル)から標準(受験者の40~70%程度が正解するであろうレベル)の難易度のものであり、それ以上のレベルの設問はごく少ない。仮に難解なレベルの問題が出題されたとしても、出来・不出来は合否に関係しないと思われます。また量的には、平均的な学力の持ち主であれば制限時間内にすべての設問を解答できるように配慮されている大学がほとんどです。
したがって、試験準備の方法としては①まず教科書レベルの定理・公式や定義をまんべんなくマスターし、②その上で解説が丁寧な参考書・問題集で学力のブラッシュアップを行うことをおすすめします。
典型的・定番的な設問を処理する際に、解き方の方針を決めるために多くの時間をさく余裕はおそらくありません。こうした設問の解法をすべて頭に入れた上で、ミスのない計算力を養成してください。
典型的・定番的な
問題の解法を修得する
練習問題、演習問題で
繰り返し問題を解き、
ミスのない計算力を身につける
※一部の大学では「総合型選抜」に該当します。
看護医療系専門学校
入試で多く問われる内容は、次の通りです。
(1)数と式の計算
①実数(特に無理数)の四則計算
②文字式の四則計算(特に多項式の乗法、式の展開と因数分解)
③無理数の分母の有理化、二重根号の簡約、代入計算
④絶対値記号を場合分けしてはずす、\begin{align} \sqrt{(文字式)^2} \end{align}の簡約と代入計算
(2)方程式・不等式
①2次方程式、連立方程式の解
②2次不等式、連立不等式の解
③2次方程式の解の判別
④方程式・不等式の文章題(特に、食塩水などの濃度)
(3)2次関数
①放物線の頂点の座標、軸の方程式
②放物線がx 軸から切り取る線分の長さ
③2次関数の決定(3点を通る放物線など)
④放物線の平行移動・対称移動
⑤最大値・最小値の求値(特に、定義域が指定されているもの)
(4)三角比
①三角比の1つ(たとえば、sinθ)の値が与えられたときの、他の三角比(たとえばcosθ,tanθ)の求値
②三角方程式・三角不等式の解
③平面図形への応用(特に、正弦定理・余弦定理・面積公式を利用する計算)
上記の頻出項目の他に、近年は学校により数学Ⅰの「データ分析」、数学Aの「場合の数、確率」、「整数の性質」からの出題もあります。志望校の募集要項を読み、出題される範囲を確認してください。また、各学校の入試過去問を入手できる場合は、出題される問題のレベルと自己の学力とを考え合わせた上で、受験する学校を検討しましょう。設問の難易度は、おおむね教科書や平易な参考書の例題・章末問題のレベルではありますが、一部の学校ではそれを超えたセンター試験レベルのものを出題しています。
受験校の過去問で
出題傾向をつかむ
典型的・定番的な問題の
解法を修得する
看護医療系大学
学校推薦型入試・一般選抜型入試ともに全体的に解答は選択問題が多く、記述式は少なくなっています。人体に関する分野から主に出題されています。ホルモンを中心とした体内環境の維持や免疫に関する出題、血液循環や血液の有形成分などが多く出題されました。ヘモグロビンによる酸素運搬についてそのしくみを正しく理解していないと解けない問題もあり、教科書や資料集など利用して酸素解離曲線のグラフ図など正確に理解した上で確実に覚えていることが必要です。
「生物基礎」については、教科書の全範囲から出題されています。「生物基礎」だけ出題されている大学・短大の場合については、近年は植物分野の設問も出題されていますので、植物分野であっても手を抜かずに、取りこぼしのないようにすべてに取り組む必要があります。基本的・標準的な問題が多いので教科書、教科書傍用の問題集を丁寧に仕上げてください。基本的・標準的な問題が多いということは、受験生にとって高得点での競争であるので取りこぼしのないようにしたいものです。生物用語についてはあいまいな知識では正しい選択肢を選べないので、正確に定義をおさえる学習が必要とされます。
「生物」については、教科書自体が分厚く出題範囲が広くなっています。教科内容をしっかり理解したうえで、教科書傍用の問題集を繰り返し解く必要があります。難易度は標準的ですが出題範囲がとても広いので、時間をかけてまんべんなく勉強してください。
特に「細胞と分子」・「代謝」・「遺伝情報の発現」・「発生」・「動物の反応と行動」については、頻出分野なので時間をかけて取り組む必要があります。人体に関する分野については教科書の囲いの内容(発展内容)からの出題もあるので、しっかりと理解し、図を中心に正しく覚えておく必要があります。
公募推薦入試については、「生物基礎」は全範囲、「生物」は教科書の前半4分の3からの出題を主とする大学が多くなっています。また、一般入試については「生物基礎」「生物」ともに全範囲からまんべんなく出題されている大学が多く見られました。受験する大学の入試要項や過去問をみて出題される分野を十分に対策しておく必要があります。
全ての範囲において、
グラフや図を含め、
正しく理解し暗記する
練習問題・演習問題で
繰り返し問題を解き、
ミスしない計算力を身につける
「生物」:知識を身につけたうえで、
繰り返し問題集を解く
看護医療系専門学校
生物基礎の範囲からの出題であり、授業で習った範囲を問うレベルのものが大半で全範囲から出題されています。
なかでも「生物の特徴」・「エネルギーと代謝」・「遺伝子とそのはたらき」・「ヒトの体内環境の維持」など人のからだの特徴や機能の問題がよく出題されています。
基本的・標準的な問題が多いですが、あいまいな知識では正しい選択肢を選べないので、正確に教科書を理解することに重点をおき傍用問題集を使って丁寧に学習をすすめてください。
生物基礎の範囲において、
グラフや図を含め、
正しく理解し暗記する
人のからだの特徴や
機能については
重点的に勉強を進める
看護医療系大学
受験科目で「理科」を選択する場合は、化学基礎1科目で受験できる学校は非常に少なくなっており、「化学基礎+化学」または「化学基礎+生物基礎」が必要となります。
受験校を絞った場合を除き、化学基礎に加えて化学、さらには生物基礎(生物)も勉強しておきましょう。
教科書や教科書傍用問題集を
しっかりと理解すること
過去の入試問題を解いて
傾向をつかむこと
一部の大学を除き、ほとんどの大学で化学の出題は「化学基礎」の範囲から行われており、問題の難易度も大学入学共通テストの化学基礎レベルに相当します。出題内容としては、モル計算や反応式を用いた計算、化学結合、さらに無機化学および有機化学の分野が中心となっており、これらは対策のうえで欠かせない重要項目です。効果的な対策としては、まずは教科書傍用の問題集を用いて基礎事項を丁寧に学習し、理解を深めることが第一です。その後、大学入学共通テストの過去問題や、基本から標準レベルの問題が収録された問題集に取り組み、実戦的な力を養いましょう。とくに無機化学や有機化学の分野での失点をできる限り防ぐ意識を持ち、知識の抜けをなくすことが重要です。また、計算問題の出題頻度も高いため、基本的な計算の仕組みや考え方をしっかり理解しておくことで、安定した得点が期待できます。
ほとんどの大学ではマーク式試験が採用されており、出題内容は基本的な化学知識を問う問題から、やや応用的な内容まで幅広く含まれる傾向があります。出題範囲も理論分野・無機化学・有機化学と全体的にバランスよく出題されるため、特定分野に偏らず、すべての分野をしっかり学習しておくことが求められます。中でも、無機化学および有機化学分野での失点を極力避けることを意識し、正確な知識の定着を目指した学習を心がけましょう。
対策としては、まず問題集の基本~標準レベルの例題を中心に演習を行い、入試に必要な知識を確実に身につけることが重要です。そのうえで、大学入学共通テスト用のマーク問題集に取り組み、マーク式特有の形式に慣れることも必要です。最終的には過去問を徹底的に演習し、実戦力を養っていきましょう。また、受験勉強中に出会った問題は繰り返し復習し、二度と間違えないようにすることも、得点力を高めるうえで大切なポイントです。
看護・医療系の動向は?
CHECK!
近年、18歳人口の減少にともない、全体的な学生数は減少傾向にあります。
しかし、看護・医療系分野については、不安定な経済情勢の影響もあり、2010年以降、進学希望者の数は一時的に大きく増加しました。
その後、2021年からは大学および専門学校の受験者数が減少に転じていますが、2025年度入試においては、依然として人気の高い大学を中心に受験者数が増加する傾向が見られます。
将来の安定性や社会貢献を重視する受験生にとって、看護・医療分野は今なお魅力ある進路として選ばれています。