理学療法学科について
複数領域のスキルをもつ、新世代の理学療法士へ
理学療法士とは
ケガや病気などで身体に障がいのある人や障がいの発生が予測される人に対して、基本的動作能力の回復や維持、悪化の予防を目的にリハビリテーションを行う医療職です。具体的には、運動療法(筋力トレーニング、ストレッチなど)や物理療法(温熱、電気などの物理的な手段)により、寝返る、起きる、立つ、歩くなどの基本的な動作の改善をめざします。患者さんに寄り添いつつ、障がいの度合いと目標に応じた適切なプログラムを考え、自身で日常生活を送れるように支援する「動作の専門家」です。
現場のいま
現在、理学療法士の活躍の場は病院やリハビリテーションセンターをはじめ、福祉や地域医療、スポーツ医学、予防医学、教育・行政関連の領域まで多岐にわたります。特に近年では高齢化の進展に伴い、介護保険の領域や、認知症の予防として健康増進分野でのニーズ、さらにはスポーツ障害分野での期待も高まっています。理学療法士の活動領域は大きく広がっていることから、今後も高い需要がある専門職です。
入学定員
70名
取得可能な資格・免許
- 理学療法士 国家試験受験資格
理学療法学科の学びガイド
複数領域のスキルをもつ、新世代の理学療法士へ
理学療法士の活躍の場は、運動器系・神経系・内部障害系、地域包括ケアやスポーツ分野など多岐にわたります。
そのため、これからの時代の理学療法士は、一つだけの専門性では生き残れません。多様な対応力をもつ理学療法士が、いま求められています。
「科学的根拠に基づく治療(EBM)※」と、
「患者さんとの対話に基づく治療(NBM)※」を、バランスよく学べるカリキュラム。
ゼミや卒業研究などの科目を通して「EBM」を理解し、身体の仕組みを科学的視点からアプローチする方法を学びます。また、実技系科目全体を通して「NBM」を学び、データには現れない「その人そのもの(その人の物語)」に目を向けた理学療法を身につけます。
※EBM:Evidence-based Medicine
※NBM:Narrative-based Medicine
- なぜ、EBMだけではなく、NBMも重視するのか?
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理学療法士は、内科から外科まで、急性期から退院後まで、あらゆる疾患、あらゆるステージと関わる仕事です。本学科では、ひとつのデータだけでなく、多方面から総合的にアプローチする力が必須であると考え、その人全体を捉えて関われる力を養うことができるカリキュラムとしています。
第一線で活躍する教員陣が、丁寧に直接指導。
実技の授業では、複数の教員を配置。
今も現場で活躍する教員が、学生を指導しています。また、理学療法士のスキルが求められるフィールドは、スポーツや小児といった、限定的な領域に留まりません。そのキャリアを見据えたうえでも、多様な領域を理解することが、自身の強みにもなる職業です。本学科では、多方面に活躍してきた教員が在籍しており、その経験を直接伝えています。
本学だからできる多岐にわたる学修分野
- 運動器系理学療法学(骨折・捻挫等)
- 神経系理学療法学(脳卒中・パーキンソン病等)
- 内科系理学療法学(肺炎・心筋梗塞等)
- 地域理学療法学(在宅高齢者介護予防等)
- 小児発達学
- スポーツ医学 など

臨床力を鍛えるOSCE(オスキー)[客観的臨床能力試験]を導入。
理学療法士役・模擬患者役・実施内容確認役に分かれて、それぞれをローテーションしながら実施するOSCEを複数の授業で導入しています。お互いにフィードバックすることでさらに理解を深め、臨床現場で必要な力を養います。
- OSCE(オスキー)とは?
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Objective Structured Clinical Examinationとは、「客観的臨床能力試験」のことであり、主に医学部などの学生が臨床実習前に合格することが必須となっている学内試験です。
本学科ではこのOSCEを導入し、実習前に実習生としてふさわしい「技能・知識・対話力」(=臨床力)がそなわっていることを確認しています。
「作業療法学科」と連携したカリキュラム。
同じ「リハビリテーションユニット」である作業療法士への理解を深めるため、「総合リハビリテーションIPW演習」など、作業療法学科と連携した授業があります。他にも、両学科の教員による“理学療法士と作業療法士の担当業務の違い”や“お互いの強み”を理解する授業なども開講し理解を深めています。

ハイレベルなゼミを通して、理学療法の新たな一面を学ぶ。
特色あるゼミ(研究室)をピックアップ!
一人では難しい研究テーマに、チームを組んで取り組む
堀ゼミ(研究室)/堀 竜次 教授
【主な研究テーマ】
運動時の骨格筋循環反応
呼吸と脳循環調整メカニズム
嚥下機能評価の開発
呼吸や循環といった生体情報のメカニズムを解明し、よりよい医療につなげることを目標にさまざまな研究をしているゼミ。数名の学生がグループで研究を行っているのが特長。一人では難しい研究でも役割を決め、複数の視点から分析します。また、「組織酸素モニター」をはじめ、通常の授業では使用しない機材を使用したり、外部研究員・現役の理学療法士などと共同研究も行ったりしています。
院生と一緒に研究を進め、「学会発表」をする学生も
工藤ゼミ(研究室)/工藤 慎太郎 教授
【主な研究テーマ】
足部のバイオメカニクス
運動器疾患の応用解剖学
客観的動作分析に基づく運動療法の開発
単に論文を発表することが目的ではなく、「こんな視点があったのか!」という“理学療法に感動を届ける研究”を進めているゼミ。本学大学院に在籍している院生と一緒に研究を行うことで、レベルの高い研究を進めることができる環境です。研究室全体で年間数十本もの学会発表を行っており、在学中に学会で発表する学生もいるなど、その先駆的な研究内容に定評のあるゼミです。
自宅から通える実習先。
移動時間を抑え、実習に集中できる環境を整備。
実習先へ通うことが負担にならないよう、自宅または大学の近郊に確保。宿泊を伴う遠隔地での実習は原則的に行いません。また、学生への指導力の高さや、できるだけ多くの職種と関われる環境など、アクセスだけではなく、さまざまなポイントからチェックした、確かな医療機関を実習先として確保しています。

医療法人錦秀会との連携で、「臨学共同参画センター」を設置
相互連携協定を結ぶ医療法人錦秀会内に、「森ノ宮医療大学臨学共同参画センター」が設置されており、本学科の教員が実習先の担当者(バイザー)とともに学生を指導する体制を確立しています。

オンラインを使った「臨床実習」
新型コロナウイルス感染症の影響により、新たな取り組みとしてオンライン臨床実習も実施。実際の患者さんに自らの闘病体験を語っていただいたり、「基本動作」を診た上で臨床推論を実施したりするなど、臨床に近い形で実施しています。

「チーム医療の森ノ宮」だから身につく!“多職種理解”と“コミュニケーション力”。
チーム医療における、理学療法士の役割とは
患者さんが身体を動かすうえで想定されるリスクを医師や看護師、臨床検査技師へ共有するなど「動作」に関わることは、ほぼ理学療法士が担当します。また同じくリハビリテーション職である作業療法士とは日常的に連携・情報共有を行い、ケアを進めていきます。

学科長 MESSAGE
臨床マインドを持ち、
あらゆる現場で頼られるプロフェッショナルへ。
さまざまな分野の専門家と協働するチーム医療において、理学療法士を必要とするフィールドは、時代の変化とともに広がり続けています。これからの現場で求められるのは、特定の領域だけで活躍するスキルではなく、「マルチな対応力」であると言えるでしょう。本学科でめざすのは、理学療法士のなかでも特に深く信頼され、臨床の現場で頼られるプロフェッショナルの育成です。指導陣には、柔軟な発想をもち、多数の領域で実績を重ねている教員が集まっています。また、医療の現場、患者さんと向き合い続ける「臨床マインド」を重視することも、本学科の特長のひとつです。科学的なデータや分析は大切ですが、一方では患者さんが抱える気持ちや不安といった数値化できないことにも応えられてこそ、プロの理学療法士であると、私たちは考えています。多職種を理解できる環境、質の高い実習先など、本物をめざす学びが、あなたを待っています。

三木屋 良輔 学科長・教授
Ryosuke Mikiya
理学療法士・修士(医科学)。2010、大阪市立大学大学院医学研究科医科学専攻修士課程修了。2007~森ノ宮医療大学理学療法学科。
[所属学会]日本理学療法士協会、日本心臓リハビリテーション学会等
[研究領域]運動時における呼吸・循環応答メカニズム、地域高齢者のサルコペニア予防、運動と栄養の併用効果