- 研究領域
- 臨床鍼灸学
- 経歴
- 1987年 明治鍼灸大学鍼灸学部鍼灸学科卒、鍼灸師
- 1987〜1992年 愛媛県立中央病院東洋医学研究所 技師
- 1992〜2006年 筑波技術短期大学(2005年〜筑波技術大学)助手
- 1999〜2002年 英国エクセター大学補完医学研究室 客員研究員
- 2002年 博士(保健学)(東京大学)
- 1999〜2003年 東京大学医学部家族看護学教室 客員研究員
- 2007〜2013年 森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科 学科長・教授
- 2011年〜現在 森ノ宮医療大学大学院保健医療学研究科 研究科長・教授
- 2014年〜現在 森ノ宮医療大学鍼灸情報センター(MUMASAIC) センター長兼務

先生の専門分野である「鍼灸安全学」とはどんな学問ですか?
今までに蓄積された医療事故や副作用の情報を集め、分析することによって、より安全で安心な鍼灸治療を目指す学問です。
なぜその分野を研究するようになったのですか?
筑波技術短期大学(現・筑波技術大学)の附属診療所に勤めていた頃、リスク管理に業務として関わったことがきっかけです。当時、この領域における詳細なデータはとても少なく、私たちがまとめた鍼灸安全性情報を米国の医学誌に発表したところ、海外からも大きな反響がありました。
では、最初から研究目的でデータを取り始めたわけではなかったのですね?
当初はあくまで施設の管理運営のためでした。まさか海外に発表できる研究のネタになるとは思いませんでしたね。人間、毎日繰り返し続けていることが一番強いと気付かされました。
現代社会において、鍼灸がもっと理解され、利用されるには何が必要だと考えますか?
「EBM(科学的根拠に基づく医療)」の概念を、鍼灸にも取り入れることだと思います。鍼灸が持つ「伝統」や「直感」といった、科学とは少し違った側面も非常に重要なのですが、科学的根拠が提示できれば多くの人に鍼灸を理解してもらいやすくなります。患者さんに判断材料を与えられるという意味で、患者さんの利益にもなると考えています。
最近は、女性の間で気軽にお灸を利用する人が増えているようですが。
「お灸女子」大歓迎です。アロマやヨガのような感覚で、手軽にお灸を楽しんでくれていますよね。女性へのお灸の効果を科学的に実証し、ブームに終わらせないよう後押ししていくのが研究者の務めだと思っています。ぜひお灸女子から実験データをとりたいですね。
普段、学生と接していてどんなことを感じますか?
国家資格の勉強だけでなく、教養を身に付ける機会も大切にしてほしいと思います。医療には、哲学や倫理、語学といった教養も必ず必要になります。英語ができれば、海外の最新情報を得ることもできますから。
これから大学を目指す若い世代に、鍼灸についてどのように伝えますか?
鍼灸は、手術や投薬とは違った形での人の治し方です。医師や看護師を志す人がいるように、鍼灸師になって現代医療とは別の角度から人を治すという道があることに気付いてほしいですね。
(平成25年9月6日)